TOPMusic ≫ 愛媛大学合唱団第61回定期演奏会

愛媛大学合唱団第61回定期演奏会


愛媛大学合唱団第61回定期演奏会
2015年12月19日(土)午後6時開演 松山市民会館大ホール


オープニング 愛媛大学学歌
1st.「光と風をつれて」(木下牧子) 指揮 下高秀一郎
2st「企画ステージ」
3st「光る砂漠」より(萩原英彦) 指揮 佐藤陽三
4st「3Motetten op.69」(F.Mendelssohn) 指揮 安岡利昭
エンディング 「今日も一つ」(なかにしあかね)

合唱団後援会絡みの仕事をしたため、聴けたのは1、4ステージ、エンディングのみ。
2、3はモニターで聴きました。

簡単に感想を書いておきます。

まず全体的に、もう少し声が積極的に出てきてもいいというか
少し奥まった感じのサウンドが続いていた気がします。
あれだけの人数がいたら、ホールが鳴るぐらいの音が出てもいいと思ったり。
まぁ今年の演奏曲はそういう曲ではないのですが、
もっと身体を解放した声が作れたら、と思いました。

第1ステージ「光と風をつれて」
副指揮者ステージ、最初はやはり音楽的に固いというか、
歌にもう少し伸びやかさが欲しい印象がありました。
しかしそれも、曲が進むにつれてだんだんと音楽が前に出てくる。
言葉と音楽の一致がまだまだ欲しいところですが
4、5曲目あたりの演奏は、充実した音となっていた気がします。
ノってくると良い音楽になる、という事かな?
この辺りは今後の課題という事でしょうか。
出だしの1フレーズで、お客様の耳が掴めるようになると
その後の展開は大きく変わってくるのでしょうね。

音楽的には、合唱団が曲の優しさや温かさなどをしっかりと感じて
歌っているのを十分感じる事が出来ました。
その感じている気持ちをどうやって演奏に転化していくか?という技術。
そこに挑戦していって欲しいと思います。
細やかな部分もしっかり歌い切ろう、表現し切ろう、としていたのは好感。
1年目とすれば十分の結果ではないでしょうか。


第4ステージ「3 Motetten op.69」
名曲でもあるメンデルスゾーンのモテットを3曲とも演奏しました。
3曲とも演奏するのは、かなりハードルが高いと思うのですが
学生指揮者で演奏するのは、なかなか聴けないかもしれません。
まずはその素晴らしい挑戦に感心しました。
あと、ドイツ語の発音は難しいですね。
全体的には突き詰める余地がまだあったと思います。
判っている人もいるのですが、全体に徹底できていないと
ドイツ語っぽくならないかも、です。

1曲目、「Herr, nun laessest du deinen Diener in Frieden fahren」
穏やかな音楽から展開していく「シメオンの賛歌」。
言葉とリズムの処理が安定せず、音楽がどんどん前へ進んでいくように感じました。
とても素敵な曲なのですが、上質の演奏を聴かせるにはハードルは高い。
ポリフォニックな部分がほとんどの曲だから、
各パートの歌唱力とアンサンブル力が同時に問われます。
名曲の力を借りて最後まで演奏の集中力は落ちませんでした。
それと最後のコラールは素敵でした。

2曲目、「Jauchzet dem Herrn, alle Welt」
コンクール自由曲に選んだ2曲目、コンクール時とは打って変わって
とても素敵な演奏になったと感じました。
場面ごとの音楽的主張もしっかりあって、それがちゃんと変化していくのが判りました。
最後の喜び踊るソプラノから始まるポリフォニーのモチーフは、
もっともっと軽やかで喜びに満ちた音でも良かった。気になったのはそこだけ。
最後のコラール、ハーモニーがちょっと危うかったですが、それでもカッコいいですね。

3曲目、「Mein Herz erhebet Gott, denn Herrn」
ソロの多い難曲、そして長い曲でもあります。
よく最後まで歌い切った!と本当に感心しました。
ここまで音楽を作るのが大変だったでしょうね。

各所に出てくるソロは、全体的にはさすがに大変そうでした。
わたしはだいたいソリストの声を知っているので
こんなに歌えるようになったか…とか、もっと頑張ってね!とか
いろんな事を考えながら聴いていました。
これではちょっと感想ではないですね(笑)。
でも、そのソロを受けてtuttiで出てくる合唱が何とも温かくて
毎回毎回、ソリストをねぎらいながら合唱が出てくる感じもあった。
きっと合唱団の気持ちがそうなのでしょうね。

また全体的に、音楽的場面はもうちょっと整理する余地を感じました。
時間の経過とともに、音色が変化していけばもっと明快になった気がします。

それでも長い曲をここまで、よくぞ歌い切った!!
ここ何年かの定演でもっとも難しい作品を演奏したのですから
(しかもこれは「人類の宝!」と言える作品なのですから)
定期演奏会の歴史に残る演奏になったと言えるかもしれません。

関連して1つだけ指摘。
プログラムにドイツ語歌詞を載せるのは良いのですが
和訳も欲しいところです。曲を知らない人がほとんどですから
ちょっともったいない。

----

モニター越しでしたが、「光る砂漠」は名曲ですね。
久しぶりに聴いて、とても素敵だと思いました。
あと、エンディングはホロリときました。
ちょっとテンポが速かったので、これをじっくり聴かされたら
号泣ものだったかもしれません。
演奏に込められた想いは、音からこぼれそうなぐらい感じられたのです。

----

最後に。

大学合唱団の定期演奏会というのは
1年間を試行錯誤しながら駆け抜けた者にしか出し得ない「音」があります。
技術的には少々足りないところがあるのかもしれない。
でもそれは、個人の力量の違いはあれど
1人1人が懸命に音楽に向き合おうとして出て来た結果。
誰に指示されるでもなく、彼らは自分で考えてそこに存在して歌ったのです。

わたしはいつもそこに、彼ら自身の声を聞きます。
どんなに未熟でも、それは彼ら自身の声です。

その事が、とても素敵です。


スポンサーサイト

Comment













非公開コメントにする
Trackback

Trackback URL