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全国コンクール2015 大学・ユース部門の感想(7~12)


つづきです。後半。

7.金城学院大学グリークラブ
ベタ、山台1、2段目を使用。
このホールは前に出ると生っぽい声になる印象があります。
だからでしょうか?いつもより少し響きが少なくなる印象がありましたが
発声的にしっかりしているので最後まで聴かせきった感じ。

課題曲
美しく豊かな声と見事なアンサンブルでじっくりと聴かせた演奏。
発声がしっかりしているので、聴き手のところに声が飛び込んでくる。
見事です。
声のブレンド具合が素晴らしく、響きが実に豊かでした。
その分、言葉の冷たさは少々後退した印象。さじ加減は難しいですね。

自由曲
これも非常に美しく豊かに聴かせる演奏。
1曲目、Ave Mariaのアンサンブルがまたしても見事で、充実の演奏。
言葉の意味で音色がさらに変化すれば、聴き手の耳をさらに掴める印象が。
それにしても良い演奏でした。。
2曲目、演奏を聴いた時、なぜか前にどこかで聴いたような?と思ったのですが
金城グリーさんが60回大会時に出場した時に演奏した曲だったのですね。
その時も聴いていて感心した記憶があるのですが
時を経ても感じる印象は基本的に同じ。
前2曲と同じく、豊かな声とアンサンブルを基本に音楽を聴かせるので
非常に充実した演奏。
アンサンブルの重ね方も、とても素敵でした。
見事。


8.都留文科大学合唱団
山台1、2、3段目を使用。

課題曲
メンデルスゾーン、軽快なテンポ感の中にところどころルバートが入り
その変化の鮮やかさに、ロマン派の演奏に手慣れた感じを受けました。
言葉のニュアンスが音楽に密着している分、変化が豊かで抒情的。
毎年のノーブルな感じよりも少し、粗さも感じたか。
テノールは難所を何とかクリアしたと思います。あれは本当に難しい。。

自由曲。
見事な演奏。
心が音楽の中に入り込み、Agnus Deiの悲しみを追体験するかのよう。
言葉全体と音楽の融合が素晴らしい。(例えばpeccata mundiなど)
旋律パートが歌った先に、ハーモニーが落ち着く時間が常に感じられて
決めの和音の中に耳が吸い込まれた。
穏やかに流れる音楽の中のドラマ性の見事さは、
一般団体の中に入っても十分に存在感を感じられるほど。
強音へのカタルシス、ゲネラルパウゼ、その後に訪れる静寂の祈りの言葉、
どこをとっても圧巻。


9.福島大学混声合唱団
山台1、2、3段目を使用。

課題曲
パレストリーナ、充実の声をベースにして音楽を構築。
言葉の扱いがマルカートっぽくなっているのが全体的に続いて
音楽の流れとは少々違う印象がありました。何か意図があったのかな?
パートバランスも良好。
パート間のアンサンブルのやり取りがもっと感じられれば
音楽の密度がさらに上がった気もします。

自由曲
プーランク2曲。これも見事な発声をベースに音楽作りがされていました。
1曲目、軽やかな躍動感の中にプーランクらしいサウンド感が宿る印象。
ところどころその印象が薄まる時間があったのが惜しい。
2曲目、さらに言葉の意味と音楽を融合させられれば、
演奏のキャラクターがもっと明快になった気がしました。
音がどこへ向かって進もうとしているのか?が見えない瞬間があって
音楽の自発性がもっと聴きたかった気がします。
声楽的に優れているので、さらに音楽に踏み込めた印象がありました。


10.新潟大学合唱団
山台1、2、3段目を使用。

課題曲
パレストリーナの音楽的要素を十分に把握した演奏です。
自発的なフレージングが随所にみられ、音楽の立体感が見事。
その分、アンサンブルのパッケージに難しさが出てしまったかも。
この辺り、どこに落としどころを作るか?というさじ加減は難しいですね。
意欲的に聴かせたパレストリーナと感じました。

自由曲
1曲目、メンデルスゾーンはドイツ語のディクションで少々手こずったかも?
長母音短母音の響きの変化を音楽の音色に生かせれば
更に立体感のあるフーガが構築できた気がします。
それでも、以前にバッハのモテットに挑戦した時も感じたのですが
課題に果敢に挑む姿勢は本当に素晴らしい。
こういう名曲にしっかりと向き合える合唱団は、幸せです。
2曲目、音楽の雰囲気が一転して、水を得た魚のように。
おだやかで柔らかな演奏が素敵!Ken-p作品との親和性が高そう。
聴いていて非常に楽しかった!


11.G.U.Choir
山台2、3段目を使用。

課題曲、音楽の聴かせ方が見事。
リズムと弱音と静寂、そして音が始まるまでの間合いが手の内に収めた演奏。
常に音楽的ゆとりを感じながら演奏を聴く事が出来ました。
指揮者の音楽提示力、合唱団の表現力、その2つが見事に融合して
ストーリーを聴かせきった印象。
音作りがワクワク感よりもちょっとだけシリアスに振ってある?とも思いましたが
実に素晴らしい演奏でした。

課題曲
1曲目、課題曲と同様、間合いと弱音とリズムと、充実の強音を操って
全く隙を感じさせない演奏。圧倒されました。
2曲目も全く同じ印象。とにかく提示力が上手い!
わたしがメモしたこの団体の感想は
「あぁこりゃすばらしいねぇ~」というたった1行だけ。
決め所を知っている指揮者のセンスの良さと
合唱団のクオリティの高さが光ります。
抜群の上手さがさく裂した演奏でした。


12.北海道大学合唱団
並びのメモが無い。。。パーカッションがいろいろと。

課題曲
この北川作品の素晴らしさを十二分に聴かせきった名演。
厚みと温もりの感じられるハーモニーの向こう側に
立原道造の寂寥感がある。
フレーズ語尾の「…であろ(ら)う」という言葉の消えゆく様に
聴き手が静かに思いを馳せる時間があり、
ホール全体が音楽に惹き込まれる。

彼らの作った時間は美しい。

自由曲
1曲目2曲目ともに、密度と燃焼度の高い演奏。
音の生命力が躍動感となり、常に根底に流れ続ける。
蓑踊の音楽的演出の中に
命を輝かせる信仰、そして命の灯の途絶える瞬間が交錯し
心を動かさずには聴けない演奏。
メモ書きには一言、「上手い!」と。(感想を書くのに困る・・・)


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以上、大学ユース部門12団体の感想でした。
最後に全体を聴いての感想を少しだけ。

(つづく)

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