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全国コンクールの感想2010(その5)


今年の全国コンクール、わたしはボロボロと涙をこぼす演奏が多かった。
よく考えれば、1団体を除いてすべて歌詞が日本語の団体でした。
やはり、何を言っているか判るというのはとても大切な事です。

そういえば今年の演奏曲は、全体的に日本語が多かった。
ただ、一般A部門はまだまだ外国語作品の方が多い。
少人数部門で歌える日本語作品は、まだまだ少ないという事なのでしょうか。

合唱団の規模が小型化している現在では、少々選曲が難しい気がします。
コンクールの部門改定が行われると、それに伴って生み出される作品にも
アンサンブル傾向の強い作品が多くなっていくのかもしれません。


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8 関西学院グリークラブ(男声70)
(M3 / 多田武彦「尾崎喜八の詩から」より「冬野」「かけす」)


70人!!
40人ぐらいの関学グリーの演奏を、
熊本での全国コンクールで15年ぶりぐらいに聴いた時も感激しましたが
関学グリーの、この復活してきた陣容に感激し
改めて昔に想いを馳せていました。

関学グリーは以前、松山で年1回聴く機会がありました。
あの頃の人数は90人ぐらいいたでしょうか。
わたしは2,3回は聴いたはず。20年ぐらい前の話です。
「草野心平第二」とか「青いメッセージ」とかを聴いて
しびれるほどの感動を受けた経験が、今もこうやって合唱を続けさせていると思います。
そして北村先生や広瀬先生の指揮を、食い入るように見た記憶も。
とにかくカッコイイ。。

そして、その広瀬先生が指揮。
それだけで結構ウルウルしていたのですが。。(しかしまだ泣いてないぞ)


課題曲。
今回のコンクール初となる男声合唱団の演奏。
分厚い響きが実に心地よい。
トップテノールが時に直線的な歌唱になるのが少しだけ気になりましたが
全体の音楽運びが非常にスムーズで、音楽的ヌケの少ない演奏。
サウンドの変化がもう少しあれば(言葉遊びとシュールな歌詞ですから)
更に面白く聴けたのではないか?と感じます。
それでも…ここまでバンッ!!と思いの丈を披露した演奏を聴いたら
少々のアラは気にならなくなってしまう。
演奏とは、本当に不思議なものだと思います。。

自由曲。
もう聴いている方は懐メロを聴くつもりで…。
しかし、決してそういう演奏はならなかった。

今を生きる彼らが歌う「尾崎喜八」だった。

ここでも粗さがいろんなところで目立ちます。
しかしそれ以上に、ユニゾンのもっとも分厚い男声サウンドがドスン!と身体に響く。
素朴で味わい深い多田武彦作品が真正面から歌われ、今ここに鳴り響いている。

例えば「なにコラ」の歌う、味わい深さと華麗さとがミックスした演奏とは違う。
関学グリーのこの演奏はどちらかというと、学ランにマントというバンカラ風の演奏なのかも。
でもそこに込められたエネルギーというかパワーというか
歌を歌う根源的な力みたいなものが、満ち溢れた演奏に感じました。

「大きな竪琴のような夕暮れがかかる」

わたしはもうここですでにホロリ…と。


2曲目「かけす」のソロ、

「あんなたかーぃところを・・・」

と、さりげない余韻を感じさせる歌唱がとてもよい。
続く合唱も更に味わい深く。。
それは、ディクションが自然なのですね。
多田作品には絶対条件。だから言葉が良く判る。

音楽全体が、今まさに生まれたかのような新鮮さを持ち
音の鳴り始めから消えゆく瞬間までをコントロールしていた広瀬先生、関学グリー。
本当に本当に素晴らしかったです。

難解な合唱作品が増えている現在、
そしてそんな中から選抜された団体が集まる全国コンクールという舞台で
古き良き日本の味わいを持つ作品が、
今もまだ十分に演奏される価値と意味、
そして「味わい」を持っていた。


わたしにとってはいろんな事がうれしくて
ポロポロと涙させられた、関学グリーの演奏でした。。。
何だかよく判りませんが幸せな時間でした。
ありがとうございました。。。


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全体的に粗さを感じる演奏だったと思います。
しかしそういう部分を超えて、
十分にコントロールさせつつ聴かせどころを明快に聴かせた演奏でした。
結果は、1位金賞。
とてもうれしかったです。おめでとうございます!


そしてここでわたしは会場を後にしました。
エースクワイアを聴こうと思えば聴けた…と気が付いたのは
外に出てからだったという…(涙)。


次に会場へ戻ってくるのは、一般A部門です。
続きはそこから、という事で。


(つづく)


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