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全国コンクールの感想2010(その20)

前の記事から何日後なのか、
もう数えるのも恥ずかしいので振りかえらない事にします。
大変遅くなってすみませんでした。


・・・という事でつづきます。
初めてご覧になる方は「その18」からお読みください。
それでは、おえコラ完結編。


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9 合唱団お江戸コラリアーず(男声77)
(M3 / 信長貴富 「くちびるに歌を」)



課題曲の終わったあと。
会場が曲間の咳払いとかをしている間の事。
実にポジティブな、希望に溢れたような雰囲気がメンバーから感じられる。
どこかしら、ワクワクしているような感じさえあり。


そして静寂が訪れて
山脇さんの指揮により、前田先生のピアノの前奏が流れる・・・。



温かく、優しくいざなうように、そして涼やかに澄んだピアノの音色。。。


どこまでも前向きに進んでいくような、広がっていくような


そんな美しいピアノの音色。。。



わたくし、この前奏を聴いただけで
ボロボロと涙がこぼれてしまいました。


・・・まだ1音も歌ってもないのに(苦笑)。


そのあとに出てきた、やわらかで優しい男声の音色。。。


もうその対比だけで、ゾクゾクと。


アカペラがドイツ語で歌われ、
柔らかな音色が次第に力を帯びていくと
ピアノがそれを力強く受け止め、そして柔らかくつないでいく・・・。


くちびるに歌を持て。

心に太陽を持て。

人のためにも言葉を持て。

そしてこう語りかけよう。





この演奏は、強烈なメッセージだ。


最高潮に気持ちが高まっているものだけが発する事の出来る


純粋な希望の言葉だ。




もう、涙があふれてあふれて


演奏中、止まる事がありませんでした。




中間部、



嵐が吹こうと

吹雪が吹こうと

地上が争いで満たされようと




山脇さんが、指揮の動きを止める。



そして、70人超の祈りの歌が・・・。



時がどんなに流れようとも、


その根底に流れる祈りの気持ちは変わらない。


嵐のあいだはじっと耐えて


新たなる希望を夢見よう・・・。



そんなメッセージにも感じられました。



そして再び、冒頭のテーマ、ドイツ語部分が。



一段とスケール感を増し、極めて強烈なメッセージを込めた弱音の歌。



合唱団の気持ちが溢れ、一気に決壊していくかのような、強烈なクレッシェンド。



くちびるに歌を持て。

心に太陽を持て。

人のためにも言葉を持て。

そしてこう語りかけよう。




最高に強烈な気持ちの塊が、ステージから放出される。


気持ちが、熱い。


これは歌を超えた、今を生きる人たちのメッセージだ。


もうこの瞬間は、コンクールとか賞とか、そういうレベルの話ではない、


今ここに生きて、この歌を歌っている事の素晴らしさと


混迷の時代にもその使命を全うしようとしている人たちの、決意表明だ。




「歌を!」


と2度歌うTopテノール最前列の6人ぐらいが、


山脇さんの気持ちに反応して


全く同じ瞬間に、同じ角度に動く。


気持ちが最高に込められている。



そして、フィナーレ。


どこまでも伸びていく最強音。


あぁ、音楽が終わる。。


まだ終わらないでほしい、


この時間が、もっともっと長く続いて欲しい。。。。




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山脇さんの腕が振りおろされて、


歌声が客席の空間に広がり切ったあとに


間髪いれず、万雷の拍手がその空間を埋め尽しました。


そして最後の1人が退場するまで、その拍手は鳴りやむ事はありませんでした。


・・・そういえば、あれはバリトンパートでしょうか、


1人の方が肩を震わせて、泣き崩れんばかりに涙していました。


自らの放った音楽の持つ力に、強く共振されたのでしょう。


わたしはとてもすがすがしい気持ちでした。


全力で歌われたメッセージは、


歌い手を含めたあそこにいたすべての人の心を、強振させたのだと思う。



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思えば、この演奏は震災前の演奏でした。


何とも言い難い閉塞感に満ちていたあの頃、


そして混迷と混乱の真っただ中である震災後の今でも、


このおえコラの演奏は、強いメッセージと共に変わらず輝きを放ち続けます。


生きている事の意味。


そして、歌を歌う事の意味。


その使命を、誰もが持っているのだと痛感させられます。



そしてこうやって、つたない文字を連ねているだけのわたしも


あの時の気持ちがよみがえり、熱い気持ちに心が震えている事を


ここに告白しておきます。


おえコラの皆様、


指揮者の山脇さん、


ピアニストの前田先生、


そして、作曲家の信長先生、


素晴らしい音楽を、ありがとうございました。



(つづく)



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