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合唱団ある第21回定期演奏会(その4・ラスト)


(その3)の続きです。
かなり長いですが。。。


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詩の朗読が終わり、静寂な時間の中で指揮者の福原先生が指揮台に上がりました。
演奏前の拍手はありません。
詩の朗読の雰囲気を大切にしたステージ。


そして、ピアニストの浅井先生が最初の音取りを。。


音取りの音を聴いただけで、わたしは「ううっ」と思ってしまった。
心が潰されていくような・・・
音そのものは決して重苦しい訳じゃないのだけど、
小さな何かが、確実に歪んでいる3つの音。


次に流れ出る音楽を示唆する浅井先生の音取りに、
わたしは田中瑤子先生の音取りを思い出していました。


1987年、全日本合唱コンクール。
合唱団OMPの選択曲は、武満徹の「恋のかくれんぼ」でした。
田中先生の弾いた音取りはサラリと何げない音。
しかしその後の音楽の柔らかく素敵な世界を示唆するかのような。。。
あの時と、音楽の内容は大きく違っていても
浅井先生の音取りの音に、それをとっさに思い出したのです。


そう、浅井先生も交聲詩「海」のピアニストとして、
そのステージにいらっしゃったのですよね。



演奏が始まりました。
福原先生の指揮により、音楽が紡ぎだされていく。。


合唱団から出てくる空気感が、これまでにないほどに研ぎ澄まされている。
ステージにいる全員の気持ちが、1つの方向を向いているのがよく判る。


確実に何かが引き裂かれた、二度と取り返しのつかない悲劇の音たち。
しかし、悲劇をあからさまに音として叩き付ける訳では無く
ひたすら人間の内面の音を紡いでいるような。
そして、時として訪れる無の空間に放り出されたような静寂。
この、終わりのない不安な感覚は何なのだろう。


そして…。
次に希望が示されるのだが…。


その「希望」は、今を生きる君たち次第なのた。


…と静かに言われているような。。。


最後に、心臓を素手で静かに掴まれたような感覚のまま
曲が終わり、静寂な時間が訪れました。




長い、音楽の余韻。




そして、静かに拍手が始まりました。




緊張の初演ステージをやり遂げた合唱団の安堵感と、
その瞬間に居合わせる事の出来た聴衆の喜びに満ちた、
温かな拍手。。。



素晴らしい初演だったと思います。
久しぶりに、涙を流しながら合唱曲を聴いた。。。




そして、アンコール。



わたしは勝手ながら、
(うーん、この演奏のあとにアンコールは無いでしょう?・涙)
と思っていたのですが…。



最初の音を聴いて、強く納得。




その曲は「とむらいのあとは」でした。




昨年の合唱コンクールの課題曲。
この曲、もう何回聴いたか判らないぐらいだったのですが。。


本当に素晴らしかった!!!
たくさん聴いた演奏の中でも、ダントツの素晴らしさ。


三善先生からのメッセージが初演の曲だとすれば、
「とむらいのあとに」は、「合唱団あるからのメッセージ」だった。
これ以上は無いほど、音に歌詞に意味合いが込められている演奏。
これほど人間のメッセージが乗っている歌は、そうそう聴けないと思う。



まさに、この演奏は


「銃よりひとをしびれさす

 ひきがねひけなくなる歌」


でした。。




またしても、涙。




そして最後のアンコールのは「たねは旅する」。



文句なく、素晴らしい音楽。



そして、合唱団あるの定期演奏会は大成功のうちに終わったのでした。




…しかし、わたしはしばらく席を立つ気になれませんでした。



いつまでも、この演奏会の余韻に浸っていたい。
たくさんのメッセージが込められた曲の演奏されたこの空間で
あの心が揺り動かされるような感覚を感じていたい。。。



そんな事を思いながら、ステージを見つめ座り続けていました。。。



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これで、合唱団ある定期演奏会の感想はおしまいです。

仕事の都合がどうなるか判らなかったので、
演奏会に行く事を決めたのは3日前ぐらいだったのですが
広島まで行って本当に良かったと思っています。

長々と書き連ねましたが、
演奏会で聴かせていただいた音楽の素晴らしさに
少しでもお礼が言いたい…という気持ちで書かせていただきました。

特に、最後の3曲を、ステージと客席という違いはあれど、
「あの場で同じ時間と空間を共有出来た事」に
誇らしい気持ちを持っています。




素晴らしい音楽をありがとうございました。




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